「愛は大家を救う」
はじめに
今回の記事は大家側の立場視点をご紹介することで借りる側方にも新しい視点で物事を見れるきっかけになればよいなぁ思って作成してみました。最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。では。
さて「借主編」では部屋を借りる側の視点を見てきましたが、不動産経営は相手がいて初めて成り立つものです。今回は、普段はなかなか表に出ない「大家である私のリアルな頭の中」をすべてお話しします。
ネットの記事では「大家は不労所得でのんびりしている」なんて書かれがちですが、実際はまったく違います。投資家としてのシミュレーション、空室への危機感、そしてパートナーである不動産会社との関係など、泥臭くもシビアな経営の舞台裏がここにあります。
① 募集開始:私のスピード戦と「壊れる前の先回り投資」
退去が決まると、管理会社を通じてSUUMOやHOME’S、アットホームなどのポータルサイトへ掲載し、すぐに新しい入居者探しが始まります。
ここで私が最も意識しているのは、「一日でも空室期間を減らすこと」です。空室が続けば、毎月の家賃収入は容赦なく0円になります。だからこそ、ここは時間との戦いです。
私のケースでは、前の入居者の退去通知が出た翌日にすぐリフォーム業者を手配し、最低限の水回りとクリーニングだけで、わずか2週間で次の入居者を決めてしまったことがあります。ちょうど売却活動と並行していたタイミングで、賃貸希望の方が内覧に来られた際、「壁紙はそのままでいい」と言ってくださったため、スピードを最優先してそのまま住んでもらう決断をしました。
通常の賃貸経営では、退去から次の入居までクリーニングや修繕の見積もり、施工などで1〜2ヶ月かかるのが一般的と言われています。しかし、日頃からリフォーム会社と意思疎通を図り、「退去が出たらすぐ動く」という強固な連携体制(ライン)を作っておけば、これだけのスピード感で空室リスクを潰すことができます。「壁紙の張替えをあえてスキップする」という柔軟な引き算の判断力と、売却と賃貸のニーズを同時に掴むアンテナの高さが合わさることで、無駄な空室期間を限界まで削ることができるのです。
ネットの大家ブログを見ると「壁紙をおしゃれにリノベーションしよう」といったノウハウをよく見かけますが、私はそのような見た目の装飾はしていません。それよりも遥かに大切にしているのが、「設備は壊れる前に交換する」という基本原則です。
特に給湯器など、入居者の生活に直結する設備は、耐用年数を過ぎたらトラブルが起きる前にこちらから積極的に先回りして交換します。住み始めてからお湯が出なくなるような不便をかけない、この先回りの投資こそが、結果として長く選ばれる物件にするための鉄則だと確信しています。
② 家賃設定:管理会社に流されず、自分の感覚を信じる
経営において一番重要な家賃設定ですが、私は周辺の家賃相場、築年数、駅からの距離、エリアの空室率などを総合的に見ながら判断しています。
例えば、今まで15万円だった部屋でも、周辺相場が17万円に上がっていれば、強気に17万円で募集をかけることもあります。家賃はすべて市場価格(相場)で決まるからです。
ちなみに、管理会社から「次の家賃はどうしますか?」と確認されるのは、更新年度の初めです。その際、一応相場感は確認しますが、私はこれまで家賃を下げようと言われたことは一度もありません。高すぎると苦情が出ることもなく、空室が出てもすぐに次の入居者が決まっているため、自分の設定した家賃が「適正」なのだと実感しています。
おもしろいことに、同じマンションであっても、私の部屋の10階下の部屋が、自分の部屋より2万円も高い家賃で募集されているのを見かけることがあります。「そんなに高くしてよく決まるな」と驚くこともありますが、これが不動産市場のリアルです。
階数が違うだけで家賃が大きく異なる背景には、単なる日当たりや眺望の差だけでなく、不動産市場特有の構造があります。高層階は「ステータス性」が高いため強気のプライシングが通りやすく、逆に低層階は実利重視の層に向けて手堅い価格に設定される傾向があります。また、過去の入居時期(景気が良かった時期か悪かった時期か)によっても賃料のベースが異なるため、同じ建物内でも驚くほどの価格差が維持されるケースがあるのです。

私も始めたばかりの頃は空室が怖くて、「こちらからサービスして家賃を下げて募集しようか」と弱気になりかけたことがありました。しかし、結局そんな心配は無用でした。
今の私が大切にしているのは、しっかり相場を調べた上で、「自分の感覚」と「パートナー(仲介業者)」を信じることです。もしそれで失敗してダメだったとしても、それはすべて自己責任、という覚悟を持って家賃を決めています。
③ 専任・一般の選択:ネットの常識を疑い、信頼の「専任」で勝負する
ネットの投資情報を見ていると、「囲い込みを防ぐために、一般媒介で複数社に競わせるのが正解だ」という意見をよく目にします。しかし、私の実体験から言わせてもらうと、現場のリアルは全く異なります。
売却の時も、賃貸の募集の時も、不動産会社からは決まって「一般はやめてほしい、もはや専任でうちに任せてくれませんか」と熱心に言われます。なぜなら、仲介手数料は「契約を成立させた1社」にしか入らない仕組みだからです。他社に横取りされるリスクがある一般媒介では、どうしても業者のやる気に差が出てしまいます。
私はこれまで、売りでも貸しでも自分の希望価格を下回ったことが一度もありません。だからこそ、ネットの一般媒介推奨論に流される必要はないと感じています。大切なのは、自分の感覚を磨き、信頼できる1社を見極めて「専任」でパートナーシップを組むことです。それが最も打率が高い方法だと実感しています。

早く部屋を埋めたい大家側が、不動産業者へ「裏の成功報酬(AD)」を1〜2ヶ月分上乗せして払う慣習がありますが、私はこれまでADを支払った経験はありません。
逆に、私が「借りる側」として部屋を探していた時、あきらかにおかしな条件の物件を紹介されたことがありました。不審に思った私が、その場で不動産業者に「これ、ADが乗っている物件じゃないですよね?」とカマをかけてみたのです。すると業者は、
「そ、そんなわけないじゃないですか!あはは……」
と、あからさまに動揺しました。仲介会社が手数料欲しさに強引に勧めてきているのが一発で分かったため、もちろんその部屋は借りませんでした。こうした裏側の仕組みを知っておくことは、貸す側にとっても借りる側にとっても強力な武器になります。

④ 内見と審査:書類からにじみ出る「違和感」を見逃さない
入居希望者の方が行う内見に、私が直接立ち会うことはほとんどありません。だからといって、管理会社から上がってくる「申込書」の数字だけを盲信しているわけでもありません。
申込書にある年収や勤務先といった属性は、すでに家賃保証会社の審査を通っているため、実はそれほど心配していません。万が一滞納があっても、システム上で立て替えてもらえるからです。
本当はここに、実際の店子さんの申込書をアップしてリアルな現場をお見せしたかったのですが、個人情報だらけでほぼ黒塗り状態になってしまい、何が書いてあるか分からなくなってしまいました。そのため、やむなく今回は見本となるサンプル書類を掲載します。

私が審査で最も注視しているのは、こうした書類からにじみ出る「違和感」です。
具体的には、「この間取りに対して、入居希望の人数が多すぎないか」という点です。例えば、2人暮らし用の間取りなのに4人の名前が書かれていたりすると、私はすぐにピンときて、「これ、また貸し(転貸)とかされてトラブルになりませんか?」と業者に必ず確認を入れます。すると業者側も「確かに怪しいですね、だったらこの人はやめておきましょう」となり、違和感を感じた時点でNGにします。
また、記入された文字そのものに人間性が現れることもあります。あまりに乱雑で誠意の感じられない書類を見ると、「この人で本当に大丈夫なのだろうか」と不安がよぎるものです。

私が過剰な入居人数や書類の違和感を警戒するのは、単に「部屋が汚れるから」だけではありません。一番の恐怖は、契約者とは別の第三者に部屋を転貸される「違法民泊」や、犯罪グループの「アジト(掛け子の拠点など)」として使われる実務的なリスクです。無断転貸は法律(民法)上、明確な契約解除事由になりますが、いざ発覚した後に立ち退き交渉や裁判を行うとなれば、膨大な時間と弁護士費用という、私側の持ち出し(経営コスト)が発生してしまいます。だからこそ、住む人数や実態が不透明な方は、どんなに年収が高くても申込書段階のわずかな「違和感」を放置せず、水際でお断りするのが、私の正しいリスク管理なのです。
⑤ まとめ:私が知った不動産だけの「圧倒的な強み」
私が不動産投資を始める前に最も恐れているのは、「結局、自分の手元にいくら残るんだ?」という収支の不安でした。そして、実際に始めてから常に付きまとうのは「空室リスク」の恐怖です。
特に始める前は、死ぬほど手残り(キャッシュフロー)をシミュレーションしたものの、怖くて全然実行に移せなかった時期が長くありました。
普通に考えたら、物件を売却してその利益で「高配当株」でも買った方が、管理の手間も一切ありませんし、利回りだって絶対に良いはずです。わざわざリスクを負って不動産をやる意味はあるのか、と悩む人の気持ちは痛いほど分かります。
しかし、実際に自分の体でやってみて、初めて分かった「不動産だけの圧倒的な強み」があります。
- インフレに抜群に強い(物価上昇とともに家賃や資産価値も上がる)
- 銀行の「信用」を使って、レバレッジ(融資)を効かせられる
株は自分の現金の範囲でしか買えませんが、不動産は他人の資本(銀行のお金)を使って、自分の身の丈以上の大きな資産を動かすことができます。これこそが、実際にやってみないと実感が湧かない、不動産だけの魔法なのです。
貸す側である私は、ただ「できるだけ高く貸して儲けたい」と考えているわけではありません。
- 家賃を滞納しない人
- 部屋を大切に扱い、長く住んでくれる人
- 近隣とトラブルを起こさない人
こうした方を探しています。つまり、大家と借主は利益を奪い合う敵ではなく、「お互いに安心して長く付き合える相手を探している、対等なパートナー」の関係なのです。
- 空室期間を最短にするため、退去翌日のリフォームなど圧倒的なスピード戦を意識している。
- 壁紙のデザインより、給湯器など生活設備の先回り交換に投資する。
- 家賃は相場を調べた上で、自分の感覚と信頼できるパートナー(専任)を信じて決める。
- 書類審査では、間取りと人数のアンバランスさなどの「違和感」を絶対に無視しない。
- 不動産の真の強みは、表面的な利回りだけでなく、「インフレヘッジ」と「信用(レバレッジ)」が使える点にある。

コメント