※筆者はガンダムXが好きなのですが、本文はSPACEXの記事となります(笑)
スペースXとはどんな会社なのか?
スペースXはイーロン・マスク氏が設立した民間宇宙企業である。主な事業は以下のとおり。- ロケット打ち上げ事業(Falcon 9、Starship)
- 衛星通信サービス「Starlink」
- 宇宙輸送サービス
- 月・火星探査関連事業
【緻密に紐解く財務】国から依頼されてロケットを飛ばしているのに、なぜ赤字?
ここで、今回初公開されたスペースXの最新の財務データ(S-1目論見書)をかなり深掘りしてみたい。実はここに、投資家として見逃せない驚きの事実が隠されている。 スペースXはNASA(米国航空宇宙局)や米国防総省から次々と依頼を受け、毎月のようにロケットをバンバン飛ばしている。売上高は急成長しており、2025年通期の売上高は前年比+33%の187億ドル(約2兆9,000億円)に達した。 それなのに、会社の2025年最終損益は「49.3億ドル(約7,800億円)の巨額の赤字」なのだ。 「本業のロケット開発にお金がかかりすぎているのでは?」と思うかもしれない。しかし、セグメント別の内訳を見ると、本当の理由は全く別にあることがわかる。📊 判明した3つのセグメントの実態(2025年通期)
- 1. Starlink(衛星通信)🌟【超優良キャッシュカウ】
・売上高:114億ドル(全体の約61%)
・営業損益:44.2億ドルの黒字
・月額の顧客単価は99ドルから66ドルへ下がったものの、契約数が爆発的に伸びたことで、利益率が極めて高い最強の現金製造機になっている。 - 2. 宇宙打ち上げ🚀【圧倒的シェアだが投資先行】
・売上高:約41億ドル
・営業損益:6.57億ドルの赤字
・コスト削減は進んでいるものの、次世代大型ロケット「Starship」の開発や打ち上げ実験のインフラ投資が重く、足元はまだ赤字。 - 3. xAI(人工知能)🤖【赤字の主因であり、本命】
・売上高:32億ドル
・営業損益:63.5億ドルの巨額赤字
「圧倒的な宇宙インフラ(ロケットと通信網)を物理적基盤にした、イーロン・マスクの次世代AIビジネス」に賭ける投資なのだ。本業が国の仕事で回っていても、それを遥かに上回るスピードでAIに先行投資しているからこその「攻めの赤字」。この驚異的なスケールの赤字の理由にワクワクできるかどうかが、この株を買うかどうかの分かれ道だと思う。
ここが一番重要:このIPOは「イーロンの現金化」ではない
IPO(新規上場)を検討するとき、私が必ずチェックするのが「新株発行(公募増資)」なのか「既存株の売り出し」なのかという点だ。 もし既存株の売り出しなら、集まったお金は創業者や初期の投資家の懐に入り、彼らの「出口(現金化)」に使われることになる。スペースXに関しても、発表前は「イーロン・マスクが他社(XやxAIなど)の資金作りのために、スペースXの株を売って自分の財布を潤すのではないか?」という懸念の声が市場から上がっていた。 しかし、開示された目論見書を見て私は安心した。今回のIPOは、既存株の売り出しを一切含まない「100%新株発行(オール・プライマリー)」なのだ。 つまり、投資家が支払うお金はイーロンの懐に1円も入らず、最大750億ドル(約12兆円)と言われる調達資金のすべてがスペースXの口座に入り、先述した次世代AIインフラやロケットへの投資に100%使われる。さらにイーロン自身も「上場後1年間は自分の株を売らない」という制限(ロックアップ)に同意している。 これなら「企業の成長を純粋に応援する」という投資の本来の目的と完全に一致する。私が「迷わず申し込んだ」最大の裏付けがこれだ。
個別株ではなくNASDAQやS&P500でよくない?
もちろんその意見も正しい。実際に私自身もNASDAQ100やS&P500へ投資している。むしろ資産形成の中心はインデックス投資だ。 今後はAnthropicやOpenAIといった有力なAI企業も上場してくる可能性がある。それらを個別で追いかけるのは大変なので、NASDAQ100を保有しておけば幅広く恩恵を受けられるだろう。 ちなみにスペースXは、上場後もイーロン氏に議決権が集中する特殊な構造(Class B株を保有し、約85%の議決権を維持)をとるため、S&P500やNASDAQ100といった主要インデックスの採用ルールにすぐには適合しない可能性が指摘されている。 時価総額280兆円〜300兆円という、国家予算レベルの巨大企業であるにもかかわらず、イーロン・マスク氏一人でスペースXの株式(議決権換算)の約8割を握り続ける予定だ。 日本でトップのワンマン経営者といえばソフトバンクグループの孫正義氏が思い浮かぶが、あの孫さんでさえ自社株の保有比率は約2割(約30%前後)である。そう考えると、時価総額300兆円企業の「8割」を個人がコントロールするというのが、どれほど異常で、どれほど圧倒的な独裁体制かがよく分かる。 だからこそ、主要インデックスにはすぐに入らない。だからこそ、個別で持つ意味がある。 だから私は「スペースXかNASDAQか」ではなく、「両方買う」という考え方だ。積立投資はこれまで通り継続する。そのうえで「夢枠」としてスペースXを個別に保有したいと思っている。

コメント